真夏の大三角形

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 私にはわかってしまった。リエの気持ち。 「一緒に……いても……いい、かな?」  今頃になって気付いた事がある。 『あれ? リエ。スマホケース、変えた?』 『う、うん』  コウと色違い。 「ごめん……」  驚き、私は顔を上げる。 「今日は……アイツと約束してるから……」  ゆっくりと目を細め、寂しく笑う。 「そうだよね……」  そんなコウに、リエも儚い笑みで返す。  リエは知っていた。私が何でも話していたから。 『コウがさ。陸奥屋ラストデー、一緒に行かないかって』  足早に去っていくリエをコウは見送る。そして再び階段を上がると、約束の場所へと続く自動扉をくぐった。 『そんなの、寂しいよ』  賑わう人々、立ち並ぶ屋台。 「綿あめもーっ!」 「焼きモロコシ、食べてからにしなさいっ!」  お母さんの手を引っぱりながら小さな男の子が、指さす。  鮮やかな色合いの袋に描かれたキャラクター達が、一斉に笑いかけている。
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