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『え? え?』
真っ白な光に弾けそうになる。このタイミングで昇天っ!?
だけど次に目を開けた時、予想外の事態に陥っていた。
「何で……」
汗だくで気持ち悪い。ぼんやりとした灯りの下、ごつごつとした手が見える。
「憑依……しちゃった?」
どうしようと一瞬焦ったけれど、すぐに思い直す。これは……ある意味、最後のチャンスだ!
「ちょっとだけ借ります」
そう呟き、私はコウの元へと急いだ。
◆◆◆
「コウ!」
野太い声に驚き、俺は振り向いた。
「え……?」
涙で滲んだ視界でも理解する。屋上に満ちている明るさを背に、こちらを真っ直ぐに見ているのは。
「……誰?」
真っ白なパイル地のガウンの前をはだけさせた、がたいのいい男の人。
「私よ! カナ!」
「はっ?」
物凄い勢いで詰め寄られる。よろめき、フェンスに背中を預けた。
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