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「ピンク、ね?おばちゃんもピンク好きよ。ほら、これとか、こんなのとか…」
私が素早く選り出した数着の浴衣に、もじもじしていたまなちゃんが目を輝かせました。
お父さんはといえば、どこか所在無げにしていながら、娘が浴衣を羽織るのを目を細めて眺めています。
「パパ」
白地にピンクや赤のレトロ調の花を大小散らした浴衣を、まなちゃんはすぐに気に入ったようでした。
簡単に着付けた姿で、お父さんを振り返ります。
「それがいいのか?」
「うん」
無邪気な娘に満足気に笑顔を返す、不器用だけれど愛情に溢れた父親。
あの頃この人に思い描いていた姿がそこにあって、私は眩しさを覚えました。
帯と下駄、手提げの巾着、髪飾り、そして浴衣。
閉店間際であまり数もなかった子供浴衣でしたが、まなちゃんは、一揃えお気に入りを見繕って嬉しそうでした。
梨々香さんは帯を決め、小物を見ています。
今流行りの、浴衣に帯留めを合わせる形にするようです。
「縁日はこれからですか?よろしければ、着付け致しますが」
もう少し時間はよさそうだと思い、私がそう言うと、まなちゃんは目を輝かせてお父さんを見上げました。
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