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びくっと肩に力が入るのがわかった。
持っていた鞄を手放して、背けている顔に手を伸ばした。
顎のラインに指が触れると、それを避ける様に壁に背中を付けた。
「何て言われたの?」
「……」
「想像できるよ。
多分自分に迷惑がかかる的な事でしょ?」
「……」
先輩は視線を伏せたまま黙っている。
「そういうやり方するんだ、あの人」
はぁ、とため息をついて先輩の肩に凭れる。
「……羽山?」
「先輩、ちょっと我儘言ってもいいですか?」
「……」
「先輩が草間さんの事を修ちゃんて呼ぶの……やなんですけど」
「……え?」
「出来たらやめてくれません?」
「……何でやなの?」
「……」
凭れていた頭を起こして、先輩の目の前に顔を合わせた。
「そんなの普通のことでしょう?」
先輩は目を開いて口をきゅっと結ぶ。
「普通……?」
「ええ」
先輩の口が小さく開いた。
その口から漏れる言葉を人差し指で塞いだ。
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