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ドキドキしながらリオ様を見ているとリオ様は他の人達を見た。
「あのさ、セナ」
「はい?」
「いつもこんなご飯を食べているの?」
「はい。他の街の残飯処理ですね。でも慣れました。私達にはそれが普通なんです」
そう言って私は深呼吸をしてからご飯を食べた。
大丈夫、気にするな。
リオ様は何気なくしただけ。
私が意識してるってバレたら、それこそこれからリオ様と接する事が出来ない。
「……他の街の残飯処理」
「はい。私達の街が最後だって知ってる人達はアリアの見ていないところでいろいろしていますけどね」
「それを知ってて言わないの?」
「言ったところで誰が信じてくれるんです?」
純粋にそう聞き返しただけだった。
それだけなのにリオ様の顔が険しくなったのだ。
何か間違った事を言ったのだろうか?
この国の王子様を怒らせるようなことを。
不安になっているとリオ様が突然立ち上がった。
そしてアリアに近づいていった。
「アリア」
「は、はい!!リオ様!!」
「明日からこの街の食事は別にしろ」
「へ!?」
「いつ他の街の住人がこの街の人達を殺そうとするか分からない。毒が仕込まれるかもしれない」
「毒!?」
「それから、しばらくの間は俺も一緒にここへ来ることにする」
「ちょちょ!?ちょっと待って下さい!!私に言われてもですね……っ」
「父と母には俺から伝える。それから料理長にも。いつまでも人を蔑み生きていくのはやめろと」
この王子様は本当に優しい人だ。
私の普通を塗り替えようとする。
キラキラ輝いてる。
……この国に生きててよかった。
私がそのままご飯を食べようとするとリオ様が私の手を掴んだ。
「リオ様?」
「セナ。こんなものはご飯じゃないよ。代わりにこれを食べて」
そう言って差し出されたのはチョコレートだった。
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