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おかしいな。
どうして目が合ってるだけなのにこんなにドキドキしてるの?
どうして……。
「今回君がここに来たのはなんで?」
「……家族を返してもらいに来た」
「そうか。君の家族を勝手に連れて来てしまってすまない。こちらの監督不行届だ。許して欲しい」
王子様が頭を下げる。
なんでだろう。
この王子様とそこの騎士は他の人達と何か違う。
アリアみたいな感じ。
安心できる。
私は目を伏せた。
「もう、いいよ……。木刀返して」
「それは出来ない」
「なんで……っ」
「俺が君にもうコレを握ってほしくないから」
そう言うと王子様は私の腕を掴んだ。
「や、やめて!!触らないでってば!!」
「どうして?」
「だって私、悪魔街の人間で……っ」
「だから?」
「だ、だから……。汚いって、思ってるんじゃ……」
別に良かった。
誰にどう思われていようが。
でも、この人だけには思われたくなかった。
「汚いだって?そんなことない」
手をクッと引かれる。
王子様に寄りかかると心臓が飛び跳ねた。
「俺はこうやって、君を抱き締める事ができる。汚いだなんて思うわけない」
「……っ!」
「細いね、君。壊れてしまいそうだ」
顔が赤くなる。
私は王子様を突き飛ばすと逃げるように走り去った。
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