葛藤と存在意義

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  散歩がてらアルシャインの森の中を歩こうと思ったのが失敗だった。 まさか大柄な男三人が寄ってたかって女性を襲おうとしている現場に遭遇するだなんて。 山賊、という輩でしょうか。 女性は私に気付くと、助けてくれと言わんばかりに目で訴えている。 「何見てんだよてめぇ」 男たちも私に気付いたらしい。 マチェットのような刃物をこちらに向けて威嚇しているが、そんなのはお構い無しに私は女性の方へと向かう。 「えと……ここは私が引き受けますので、貴女は逃げちゃっていいですよ」 そう告げると、女性は頭を下げ走って行った。 暫く呆気に取られていた山賊(仮)が口を開く 「おいおい嬢ちゃん、どうしてくれんだよ、ええ?」 「……」 「なあなあ見てみろよ、怯えて声も出てねえぜコイツ」 へへへ、と男たちの下卑た笑いが響く。 背中に虫でも入れられたかのような、ぞわりとした不快な感覚。 怯えていた訳じゃない。人と話すのが苦手なんだ。 ついどもってしまう。話す事を纏めてないと会話がテンポ良く続かない。 「じゃあコイツどうするよ?」 「あ?んなもん決まってんだろ」 男の一人がニヤけた面をして私に手を伸ばす。 気持ち悪い。 私を見るその目が、ただただ気持ち悪くて。 心がどんどん冷めていく。 「……来ないで下さい、弱っちいくせに」
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