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そこには学校で習ったばかりの漢字がいっぱい並んでいる
「これが『いえ』ね!家族の『か』とも読むよ」
一つ一つ丁寧に教えてくれる愛美を愛里は嬉しそうに見つめた
元来、生真面目で勉強好きな愛里は入院している間、教科書を擦り切れるほど読み返していた
分からない所があればパソコンを使って学校の担任や家庭教師の先生に質問したり、独学で答えを導き出したりと、とても小学校低学年とは思えない学習をしていた
愛美が教える漢字や計算や英単語は愛里からしてみれば、既に覚えてしまっているものばかりだ
それでも愛美が自分の為に一生懸命になってくれていると思うと心がポカポカと暖かくなって、真剣に耳を傾けていた
しかし、大手術を受けた後で疲れや痛みもある…次第に集中力を欠いた愛里は妹の目につかないように欠伸をかみ殺していた
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