意識

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何とか笑いが収まってきた愛里は顔を上げながら涙を拭う その仕種に紗耶香は思わず息を飲む 笑われた恥ずかしさと泣かせてしまった罪悪感に苛まれながら、まるで時間が止まってしまったかのような…この世界には自分達だけしかいないような…そんな不思議な感覚に襲われていた 愛里は内心、苦笑していた 目の前にいる後輩は自分に対して何の打算も思惑もない 百面相な表情を繰り広げる紗耶香を見ていればわかる ただただ素直で…正直で…誠実なんだ… 「私もマナちゃんも真っ黒い感情は持ってるよ?でも、それは人間なら誰にもあるものじゃない?」 柔らかな笑顔がいつもの愛里で紗耶香はホッと胸を撫で下ろす 「りく君の事は好き……でも紗耶香ちゃんの事も好きなんだ私達……あ、紗耶香ちゃんの事は友達としてだからね?」 「と、……とも……だち…?」
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