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「愛美、握ってあげて?」
母親の麗子が声をかけると愛美は驚いたように返事をした
「い、いいの?」
振り向いた愛美は母親が頷くのを確認すると、そっと愛里の手を握った
「あいりちゃん痛くない?」
まるで小さな雛鳥を手にするように姉の温もりを肌で感じる
「い………くな……い…ょ……だ…じょ……ぶ……ま……な……ゃん……お…えん…てく…れた……ら」
愛美は目に涙を一杯ためて、その言葉の一つ一つを聞いていた
小さく掠れるような声だったけど、愛美の耳にはしっかり届く
麗子は愛美に『何て?』と通訳を頼んだ
「『痛くないよ大丈夫……まなちゃんが応援してくれたから』って言ってる」
涙を拭い震える声で話す愛美の手に、少しだけ…ほんの少しだけ愛里が握り返してくれた気がした
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