魔法少年とクマ

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ロウベアは突如、跳ね上がるような動きを見せた。 上空に跳びあがり、その巨体を揺らし、ルンディに直接飛び込んだ。 ルンディは体を横に動かし、僅かな移動で回避を成功させる。 否、僅かな移動しか出来ないほど緊張していたと言うべきか…。 ルンディは安堵すると共に頭の片隅に置いてあった魔法の呪文を持ち出す。 「具現されし爆発の矛―――【マジックミサイル】!」 球体よりは長く、四角にしては先端が丸い。 ミサイル――幾つもの前の世代に現れし救世主、勇者、彼がつけた魔法の名前は彼の世界にある破壊兵器から取られたという。 ルンディの両手を突き出した中から光に紛れ、撃ちだされる魔法。 中級に片足を踏み入れていた【マジックランス】を超えるほどの威力を持つそれは強力な威力を持ち、ロウベアの左のこめかみに命中する。 直撃したロウベアは吹き飛び、爆発の衝撃によってその真逆の方に吹き飛ぶルンディ。 「GRRRRRRRRAAAAAAAAAA!!!!!!!」 怒りに満ちたロウベアの咆哮はルンディの耳元から遠ざかっていく。 その咆哮はダメージは幾らかあれど、まだ戦える状態であることを暗に、だが明確に表していた。
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