魔法少年とクマ

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メキメキ 木々がなぎ倒される。 軽い地響きがルンディの体を伝い、震える。 目の前には、満身創痍には程遠いロウベアの姿が見える。 「GRRAAAAAA!!」 咆哮をする、そのただの叫び声も、Cランクに位置するロウベアが吠えると途端に力も昇華される。 【キングクライ】 王者の叫び、そう呼ばれる威圧であり、Cランクを超える生き物が使う力である。 殺気、威圧、様々な効果があるキングクライの力は、上位になればなるほど威力は顕著に理解できる。 ロウベアはCランクの中ではさほど強く無い部類であるが、ルンディは実戦経験も少なく、キングクライについては本で読んだだけ、今回初めて受けて分かることも多々あった。 ルンディは威圧に押されながら思う。 初めて喰らうキングクライであったが、知っていてよかった。 そう思う技であった、と。 咆哮をしながら突撃してくるロウベアの攻撃を軽やかに回避するルンディは魔法を唱える。 「奥の手、早いけど見せるしかないか――」 目を細め、相手の隙を見る。 単調な攻撃が更に単調になる。 キングクライと言う威圧により体は一瞬怯むが回避できない程の力でもないし、至近距離で受けても対処は可能。 魔法の詠唱はスラスラ、ルンディの口から出てきた。
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