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体が揺すられる。
小さい手がルンディの肩を揺する。
目を細く、開けると目の前にはルナがいた。
「お兄ちゃん、起きて、ごはんだよ」
ニコニコと笑いながらルンディに笑いかけるルナ、その顔は満面の笑みだったが、ルンディの顔は笑みを作らず、薄く頷き返すしかしなかった。
魔力を大量に使うと、酒を飲んだ時に近い酔いが発生する。
魔力酔い、そう呼ばれるものであった。
軽いものであれば軽頭痛に軽い眩暈、足元がおぼつかないなどであるが重度になると、激しい頭痛や嘔吐、まともに歩けなくなるほどである。
ルンディの症状は、重度に近い状態で、嘔吐まではいかないがフラフラと眩暈がする。
いきなり大量に魔力を使うと大抵そうなる。暑い中、水分を取らずに動き続けるとなる症状に似ている…。
ルンディはそう考えながらもルナの肩にもたれかかった、するとルナは顔を紅潮させた。
「お兄ちゃんが私に抱き着いてる…!奇跡が…!えへへ…」
目元を潤ませ感激しているが、ルンディの方は
「(頭痛いよ、ルナもなんだよ…どう見ても抱き着いてないし…)」
所詮、虚弱は虚弱だったのだ。
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