放浪少年と迷宮

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ルンディの声が聞こえたのであろう、兵士は後ろを振り向き、ちらりとこちらを見る。身長差はかなりあり、大人と子供…とまではいかないがかなりの身長差であろう。 「ん?君も冒険者かな?」 そうニッコリと笑みを浮かべながら冒険者か否かを尋ねてくる。 「はい…一応、村から出てきたばかりなので初めてですが…」 ルンディは緊張が外れないのか、硬い表情をしながらつぶやくようにしゃべった。 「あぁ、最近多いな、冒険者が増えるのは良いけど死人は増えるし、一握りしか生き残れないのに…命を軽く見る奴が多いなぁ」 隣にいたもう一人の兵士がため息を吐くように吐き捨てる。 「最近、多い?」 「ああそうさ、冒険者なんていう死亡率が最も高い仕事に就く馬鹿な奴が多くてな、開花してない才能を無駄に散らして死んでいくんだ、いろいろな理由でな」 兵士はルンディの問いに答えると、カードを一枚手渡してきた。 「これを持っているといい。これが無いと他の町に入るとき、今回と同じように一々兵士を通して入れて貰わないといけない。逆に持ってればギルドにも入れるし他の迷宮都市に入る時でもこうやって面倒な事をせず入れる、ほら」 そういって兵士が隣の兵士とは違う方向をちらりと見る。 そこには様々な者たちが歩いて、壁の中に消えている、正確には門を通っていた。
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