提督、着任

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「間違えました」 「あっ!ちょっと待っ」  静止を促す声を聴き切るよりも前に扉を閉めて、改めて地図と辞令を確認し始める 「建物、間違ってねぇよな……」 「話を聞かずに退出とか酷くない?」 「あ、ども。失礼しました」 「全く……。どうしたの?貴方見ない顔だけど、私の鎮守府に何か用?」 「へ?ここが私の着任するはずの鎮守府のはずなんですが」 「えっ」 「えっ」  お互いここが自分の職場だと思っているらしい。しかし大抵の場合は一人につき一つ。二人とも頭を捻って考え出した 「ご主人様、とりあえず上官に確認を取ってみたらどう?」  そこに割って入る女の子――漣、という名前だ――。彼女の提案に女性ははっとした風に顔を上げる 「あ、そうだね。漣ちゃんは頼りになるなぁ」 「ご主人様、調子に乗ると、ぶっ飛ばしますよ」 「アッハイ」  女性が漣の頭をなでていると、表情も声色も変えることなく非常に剣呑なことを言い出した  その一言で男が、何言ってんだこの幼女、と思ったのは内緒だ 「確か大佐は……この番号か」
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