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女性が漣に完全に気圧されているのはお構いなしに、自身の上官に連絡を取ってみることにしたようだ。携帯電話を取りだし電話帳から上官の番号へ発信する
……
…………
「失礼します。私、単冠湾鎮守府の静少佐です」
『ああ、君か。どうしたんだ?』
「配属された司令部に着いたはいいんですが……」
『あー、そんな堅っ苦しい喋り方はしなくていいよ。どうせ私は今日は非番だ。いつものフランクな喋りでいい』
「了解っす。ってか大佐どういう事ね?アタシの配属先に同僚と思しき別の人がおったんねんけど」
『別の人?』
「女性でな、子連れの」
「子連れ言うな。ていうか上司、だよね?通話相手」
至極真っ当なツッコミが入ったがガンスルーを決め込み通話に意識を傾け続けている
『……あー、すまない。君に一つ伝え忘れてた。というか、上からの通告が遅くてな』
「ふぅん……。というと?」
『深海棲艦対策に君のように何人もの海軍の者が派遣されているのは知っているな?』
「そりゃな」
『とうとう人数に対して司令部が足りなくなったらしい。だからすまないがそこにいる、翡翠少佐と同じ司令部を使ってくれ、と言うの上層部の指示だ』
「……What?」
『何、同じ空間を共有するだけだ。一応籍は別のものだし、協力して一つの司令部として活動するか、はたまたそれぞれ独立して活動するかは君たちに一任すると言ってくれている』
「公共施設を利用している市民じゃあないんだから……」
『ともかく、その司令部には君と、翡翠少佐が配属されている。ま、同じ職場だ。彼女とも仲良くしておいて損はないだろう』
「……アンダスタン。ま、それ知れてよかったわ。じゃあまたなんか困ったら連絡すっかもしれんからそんときゃ宜しく」
『ああ。じゃあな。あと早く秘書艦決めろよー』
「やかましい」
携帯電話からツー、ツー、ツー、と音が鳴った
男――名前は静。階級は少佐になったばかり――はそれをポケットにしまって女性――名前は翡翠。こちらも新米少佐だ――へと体を向ける
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