第1話

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行為が終わった後、「オレが片付けるからいいよ」と三年生の男を先に空き教室から追い出す。 「疲れたー」 持参していたカバンから取り出したのは、ポケットティッシュとウェットティッシュ。 つーか、誘って来たのはアッチなんだから、ゴムくらい持って来いよな。 カバンに入れてて良かった。 使い終わったゴムも放置する訳にはいかないから、ティッシュで包んで売店でお菓子を買った時に貰ったビニール袋に入れた。 適当にどこかのごみ箱にでも捨てるか。 「あー、しんどい」 制服を着直して、痛む腰を押さえながら立ち上がる。 カバンを肩から下げ、空き教室のドアを開けた途端に巡回している風紀委員の姿が見えた。 「あ、二年の桜庭椎馬! また空き教室で猥褻な行為をしてたんじゃ……」 「してねーって」 捕まったらまた指導という名の説教をされてしまう。 風紀委員から逃げるように廊下を反対方向へと走るが、腰の痛みからいつもよりスピードが出ない。 もう、しんどいのに走らせるなよな。 .
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