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「悪い、オレ行かないと」
離してほしいとソイツの腕の中で身体を捩るが、ソイツはギュッと力強く抱き締めたまま離してくれない。
「このままじゃ風紀に捕まるんですけどー」
捕まるも何も、階段の上の方で風紀委員がオレを睨んだまま仁王立ちしている。
はい、アウトー。
「これはこれは、生徒会書記の狼森君じゃないですか」
風紀委員の言い方に刺があるのは、噂だと前の風紀委員長と生徒会長が犬猿の仲で、風紀委員と生徒会自体が敵対しているからだろう。
それが今でも続いているらしい。
つーか、コイツ生徒会役員なのか?
「風紀委員……」
「桜庭椎馬の身柄を要求する。今すぐ風紀委員に引き渡してください」
「ダメだ……」
オレを庇うように、生徒会役員というソイツがオレの後頭部に手を添えて自分の肩に押し付けた。
「風紀委員は……厳しすぎる……」
「規律を守らない生徒を指導するのは、風紀委員として当然でしょう?」
「虐める……ダメだ」
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