第1話

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部屋に戻っても同室の坂元はまだ帰っていなかった。 何か部活とかやってるんだっけ? 入学してからすぐに名簿順で寮の部屋を割り当てられるが、気を利かせてか同じ名字の人は部屋を離されたりしていた。 だから正確な名簿順でもない。 坂元の前にオレと同室だったヤツが居たが、気が合わなくて部屋を替えてもらっていたから、未だに坂元の事は名前くらいしか知らないな。 前に一緒の部屋だった三世寺というヤツは、風紀委員をやってるような真面目で堅物だった。 オレが誰とでもヤッてると知って「……貞操観念の無い猿以下だ」と嫌悪感を顕にしていて。 何度も止めるように説得され、うんざりしたオレが部屋を替わってもらうように寮の管理人に頼んだのだ。 三世寺も生真面目だからなー。 「……好きでもない相手とするのは賛成出来ない」とか言うけどさ、しょうがないじゃん。 オレを好きになるヤツなんか居ないし、オレも誰かを好きになったりしないからさ。 軽くシャワーを浴びてから、私服に着替えケータイと財布だけ持って部屋を出る。 飯を食うのにいちいち寮の建物と別にある食堂に行かなくてはいけないのがメンドイ。 それでも腹は減るから行くしかないんだけどね。 .
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