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「私もSF小説が好きで、地殻変動によって陸地が海に沈んだ時代の人類が、海中で生活するようになるという未来小説を書こうとしました」
「それは興味深いですな、ぜひ後で教えてもらえますか?」
「大作家を前にして恐縮です」私は愛想笑いした。「それより、ドイル卿をお呼びした件ですが──」
「我輩が尽力出来ることですかな?」ドイル卿が身を乗り出した。
私は蓄音機に録音された『声』の件を説明した。
「いかなる想像力の産物にもまして、現実こそ底知れぬ不思議なことが起こりますな」ドイル卿が嘆息した。「それは電子音声現象と呼ばれている現象です」
「電子音声現象?」
「左様、1901年にシベリアのシャーマンが鳴らすドラムの音を録音したところ、複数の声が録音されたのです。これが『霊の声』を電気的な録音装置でとらえた最初の電子音声現象です」
「やはり、亡き妻の霊だと?」
「吾輩も先妻を亡くしたので、エジソン先生の気持ちはわかります」
ドイル卿も私と同じく先妻を亡くし、すぐに再婚したと聞く。少し親近感が湧いた。
「そして、この鼻歌が興味深いですな……」ドイル卿が口を閉ざした。
「どうしましたか?」
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