第7話

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「多分、他にも思うところがあるんじゃないかな」 「でも、あの人に限って浮気はないと思うし。考えたのは、家が結構厳しいみたいで、もしかしたら私素行調査とかされたのかもって」 「それはどうかな」 正志は、今や夏樹の相談相手になっていた。 別れたことが悲しいというよりも、なぜ別れたのかが分からなくて、涙もあまり出ない。 もんもんと考えるなかで答えはでるはずもなく、それでも小島を思い浮かべてはやり直したいと思ってしまう自分が情けなかかった。 「どうしたいのか分からないの。電話をしても、やり直す気がなければその話をするだけ無駄だし、余計悲しくなるかもしれない。だから、他に考えるところがあっても聞かなければいいのかも」 「でも、小島君転勤決まったんだろう?話しておかないと、一生すっきりしないかもしれないよ」 「私、彼氏が欲しかっただけで、自分を甘やかしてくれるからあの人と一緒にいただけなのかもしれない」 テーブルに置いた土を撫でるように触れながら、夏樹は言う。 話したところで、決着はついているのだ。 この土のように、水をつければ素直に形を変えてくれる男ではない。 「本当にあの人のこと、好きだったのかな」
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