第7話

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「ごめん、少しそれ分かるかも」 夏樹が言うと、小島が苦笑いをする。 「でも、それなら仕方ないよ。逃がした魚は大きいぞ」 苦し紛れの発言だった。傷ついていない。こんな恋愛、小さな出来事だ。 そう思いこむしかない。 「はは、自分で言っちゃうんだ。でも、いい人いると思うよ」 「私も、自分でいると思うよ」 言ってみて、むなしさを感じなかったわけではない。 だが、少し吹っ切れた気がした。 「良かった。この話をしたら、どんな対応するかなって怖かったんだよね」 ベンチに浅く座り、身体を伸ばす。 空を見上げて、小島に言う。 「どんな反応すると思ってた?」 「きーって怒るタイプではないと思ってたよ。でも、黙っちゃうかなって思った。もしかしたら泣くかなって。だから、そうしたらどう説明しようか不安だったんだ」 小島は、他の男にはない強さを持っている。 それは、自分の弱点を自らさらすことだ。 不安だった、ここが悪い、先に打ち明けられると、女は同情することが多い。 私が強くならなければ、これは母性ともいえる感情なのか。 「大丈夫だよ。ぺらぺらしゃべっちゃうよね」 「安心した」 「じゃあ、そろそろ帰ろうかな」 「あ、送ってくよ。車で」
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