第7話

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地団太を踏みたい衝動に駆られながらも、夏樹は再び言う。 「分かった。でも、こんなにいきなりじゃ忘れられないよ。どうせなら嫌いになりたい。今まで、私の嫌いだったところ何?一番いやだったの」 「えー!」 またもや小島が困った声を発する。 「ごめん、太鼓の音がうるさいから静かなところ行くね。待って」 そう言う間に、考えているのではないかと訝しんでしまう。 数十秒も経った頃だろうか。 急に辺りの音が静かになる。 「話している時にさ、考え事をすると顔をしかめるじゃん」 「うん」 「それが少し気になっていたかな。その癖が直るといいと思う」 「え?」 なんだそれは。夏樹の頭に浮かぶ、何度目かのクエスチョンだ。考え事をしていて、顔をしかめるのは普通ではないのだろうか。 笑顔で、考え事などするわけがない。 それほど、どうでもいいと思える理由でさえも別れたいのだ。 ある意味、最高の別れの理由ともいえた。 「分かった。もういい。ちょっとスッキリした」 「そっか。ごめんね。ありがと」 そう言って、通話終了ボタンを夏樹が押すのをいつまでも待っている。 返事はしない。どこまで人に気を使えば気が済むのだ。
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