第7話

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「好きじゃなかったら、こんなに悩まないと思うよ」 正志が、今度は本当に轆轤の電源を切る。 肘を膝に置き、全身を前に倒しながら、顔をあげて夏樹を見つめる。 「心にあいたぽっかりとした穴を埋めたくて、こんなに執着しているだけなのかも」 「穴があいてるんだろう。彼が、そこにしっかりいた証拠じゃん」 どうして、こんなに突き落としてくるのだ。 彼など好きではなかった。次がいる。こう言って背中を押す人が大半であろうなか、正志は夏樹の目線を動かさない。 問題から目をそらせば、あとで後悔するとは分かっている。 だが、一時の辛さから逃げられる。 「そうですよね。いたんですよ。いなくなっちゃったんです」 何度泣いても、報われない。 何度考えても、答えは出ない。 何度信じても、物事は違うほうへ進んでいく。 どうして、好きなだけなのにうまくいかないのだろう。 「無理にとは言わないけれど、気になることは話した方がいいよ。第三者から見ていても、それは不思議だよ。もし他に女がいるんだとしても、それなら一発殴ってやればいい」 殴ればすっきりするだろうか。 そうだ、言いたいことはいってやればいいのだ。
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