第1話

第７話

「こんにちは。おじゃましました。」

咄嗟に挨拶をして頭を下げると、あゆみがほほ笑むように笑う。

今まで見たことがなかった顔だ。

目を合わせることさえなかったあゆみが、夏樹に笑いかける。

「ごめんなさい。気付かなくて。ゆっくりしていってください。私母屋にいますし」

「あ、本当にもう仕事に戻るので。すみませんいつも」

こんなに彼女と言葉を交わすのは初めてだった。

あの夜、男に笑いかけていたあゆみとは、全く違う。

二人の間で、わだかまりが消えたのだろうか。

そうして、愛は築いていくものなのだろうか。それなら、自分も諦めたくはない。

夏樹は仕事を終えたら、小島に会いに行くことを心に決めた。