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「え」
驚いたように、小島が言う。初めて、まともに目があった。
そして、夏樹の顔をまじまじと見て、さらに驚いた顔をする。正面から向き合っていなかったので、ここまで泣いていることに気付かなかったのだろう。
「私、本当に色々してもらっていて、当たり前だと思っていたの。ううん、ストレス溜まっているだろうなって気付いていた。それでも、何もできなかったし甘えていたよね」
「いや」
「本当、ごめんね。嫌になって当然だと思う」
何を言おうかと考えては、打ち消した。
文句を言ってやろうと心に決めていた。それなのに、出てくるのは後悔の言葉だった。
涙を流すまま、拭こうともせず、鼻水を手の甲で拭う。隣の小島の顔を見てみると、呆けた顔をしている。
「でも、私は本当に好きだったんだよ」
これを言いたかった。もっと、言えばよかった。
「ちょっと、ちょっと待って」
すでに、夕日は落ちている。公園の外套もつき、辺りは真っ暗だ。
「ごめん。俺、そんな我慢って本当にしていなかったよ。だって付き合っていたら当然だと思うよ」
だからこそ、ストレスがたまっていたのではないのか。だが、小島はそのあと夏樹は想像もしていなかったことを言い出したのだ。
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