第7話

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そうだろう。どれほど、この問題を長い間一人で抱え込んできたのだろう。 誰にも相談できず、いつ気付いたのだろう。 誰が、彼を支えてあげているのだろう。 「私も壁を感じていた。でも、それはあなたが自分を守るための生命線だったんだね。ごめん、この間、私ひどいことを言ったよね」 思いだす。公園で、別れ話をされた悔しさからもあって、彼を責めた。 自分がひとつ自分の過去を話すと、相手も話してくれると信じていた。 でも、小島は話してくれない。壁を感じていたのを相手のせいにした。 だが、それは彼にとってはずっと作り上げてきた防衛線なのだ。 一番知られてはいけないと思っていたのは、夏樹にだろう。 「ううん。自分を隠すことが癖になっているんだ。だから、就職したときに営業をして、上司にお前はカラーがないって言われたんだ。小島っていいやつだけど、それで終わりでいいのかって。うるさいでも、エロいでも、子どもっぽいでもいいって。」 夏樹も思いだす。営業をしていた時に同じことを言われた。 自分の色を出せ。個性を出せ。カラーを見つけろ。出せない人間はどうすればいいのだ。 「最初は、何を言われているのかわからなかったんだ。でも、考え出したらきりがなくて」
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