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「いいと思います」
夏樹は頷いて、パスタのひとつを指差した。
「明太子和風がいいな。ピザを選んでもらってもいい?」
「では、マルゲリータにしましょう。ビール、飲みます?」
「あ、飲めないんですよ。ジンジャーエールで。でも、飲んだくらいにテンションは上がるのでご心配なく」
小島が再び、ははは、と笑う。
「すみませーん。では、明太子パスタとマルゲリータとビールとジンジャーエールをとりあえずお願いします」
「ビールは」
「ぁ、生です」
メニューを閉じながら再びお辞儀をする小島。比較的、自分をいかに大きく見せようと努力する男ばかりを見てきた夏樹にとっては、彼の態度はとても新鮮にだった。
「で、お仕事はどんなことをされているんですか」
隣の大学生くらいだろうカップルが、会話に困ったのか、交互にちらりと夏樹たちに目をやるのを感じる。
近くの席の話は、意外と聞えるもので、それを会話のネタにもしたりすることはよくあるが、恐らく夏樹と小島が初対面であることは、すぐに分かるだろう。
「フリーライターをしているので、休みはばらばらなことが多いです。小島君は?」
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