第2話

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レーンの長さは遠くまで及び、場所によってイチゴの品種が違うようだ。 「制限時間は今から三十分です。もしお腹がいっぱいになったら抜けても大丈夫です。ミルクを買われた方は、配布しますのでこちらに並んでください」 スタッフが声を荒げるようにして告げる。 それもそのはず、同じグループにいるのは小さい子どもを連れた家族連れか、 カップルがほとんど。 子どもたちはイチゴを前にして我慢できず、早足でイチゴの森へ突き進んでいくのだ。 それを追いかける父親、ミルクを取りに並ぶ母親。 特にざっくばらんの雰囲気でスタートしたハウスで、小島と夏樹も狩りへ繰り出した。 「あっまーい!」 一番近くにある赤くて大きな熟したイチゴをもぎ取ると、一口。夏樹は思わず歓声を上げていた。 「本当?」 といって、小島も一口。声に出さないものの、顔を上げ目を丸くして頷く。 あまりの可愛らしさに、夏樹が声を上げて笑った。 「甘いでしょ。すごいね。イチゴ狩り馬鹿にしてました」 夏樹が言うと、今度こそ小島が同じく声を上げて笑った。 スーパーで買うイチゴは一パック大体400円。12個入っていると思えば、大体イチゴ狩りの料金は3倍。そうなると35個以上は食べないと同じくらいの元はとれないことになる。
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