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「これね、部屋の画像。ポスターはないんだけど、壁にこういうの張って飾るのが好きなんだよね」
ある程度続けて数曲お互いが歌い終えると、小島が携帯を差し出してきた。
覗き込むと、数枚の絵が壁に貼られているようだ。
「なにこれ。描いたの?絵の具?」
うん、と答える小島の声もあまり耳に入らなかった。並べられたそれらは、写真のように色鮮やかでかつ美しかったのだ。
だが、絵だというのはすぐに分かる。
石田桃の横顔だというのも、ぼんやりと感じたが、実際にここまでのファンだとは思わなかったので、驚いて顔を上げる。
「気持ち悪いでしょうー」
「すごい!うまいね」
自嘲気味に笑う小島と、夏樹の声が重なった。
「すごい。私美術の成績はすごく悪かったから、こんなにうまく描けるなんてすごいよ。周りの風景がみたいのも写真みたいだし、これ趣味で終わらせるのなんてもったいないよ」
「あ、隣と上のは写真ですねー」
「え」
直後、二人は顔を見合わせて思い切り笑った。
「やっぱり?うますぎると思ったんだよね。新聞を切り抜くのも好きだって言っていたもんね」
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