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「みなさま、披露宴の準備が整いましたので、どうぞお入りください」
ホテルスタッフが、バンケットでくつろぐ夏樹たちに声をかける。
この歳になると、参列した結婚式の数だけはふえる一方で、どのホテルのスタッフがどれほどの対応をしてくれるのかというのも見どころになってくる。
つまり、参列者ミシュランをつけるのだ。
その点においても、このホテルに文句はつけようがなかった。料理も期待できるだろう。
「で、夏樹も結婚するの?」
突然の質問に、慌てて首を振る。
「まだ分からないよ。そんなの」
でも、少し考えてから、「したいな、とは思うけど」と続ける。
「おー!」
という周囲の歓声に、悪い気はしない。小島と遊ぶようになってまだ三カ月だったが、喧嘩もしなければ、気になるところも見当たらない。
これこそ、気が合うということではないか。そもそも小島は優しいのだ。
木を使ってくれているのが手に取るように分かる。
「どういうひとなの?」
自身のネームプレートが置かれた席に座ると、左隣から幸に声をかけられる。
「うーん、かゆいところに手が届くって人かな。先回りして色々やってくれるから、ストレス溜まっていないか心配になるよ。一つ下なんだけどね」
「年下かぁ。いいじゃん。
」
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