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幸は、私たちグループの中で一番早く結婚した。できちゃった結婚をした彼女は、高校生の頃からグループ内ではませていた。
特別結婚した時に驚きはなく、やっぱりね、というのが正直な感想だった。
恋愛に敏感なものから結婚していくのは世の常のようで、いまいち積極的になれなかった夏樹は、みんなが落ち着いた頃になってようやく芽が出てきた。
「でもさぁ、この中でやっぱり一番幸せなのは、良子だよねー」
幸が、ホテルスタッフにワインをついでもらいながら夏樹に言う。
円卓になってはいるが、どうしても会話は全員でするより、隣同士に偏りがちだ。
音楽もかかっているし、なにより披露宴が始まるまではあちこちで会話が止まらない。
だが、幸が夏樹の隣に座る良子に聞えない声の大きさではなかった。
「旦那は弁護士でしょ。聞いた?旦那もこのホテルに来ていて、今夜はここに泊るらしいよ」
「嘘」
隣の良子を思わず見ると、右隣と話しているが、その頬は幾分緊張しているかに見える。
同い年の弁護士と彼女が席を入れたのは一年半前。その間に結婚式をして、子どもまで一人儲けた。
一軒家ほどのスペースがあるマンションを手に入れ、実家は歩いて数分の距離。
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