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「でもさ、結婚ってみんな大変そうだよね。夏樹だって大変でしょ。相手探すのにさ」
自分に言われたことが最初理解できず、夏樹は
「ね」とだけ返す。だが、幸の言葉をくみ取ってみれば、相手がいなくて大変だったでしょ、ということになる。
無理やり誰でもいいから結婚すればいいわけではない。
自分なりに相手を選んで、小島を見つけたつもりの夏樹には、数秒してから癇に障る。
「でも、こっちも相手を選んでるからね。誰でもよければいっぱいいると思うよ。独身なんてたくさんいるしさ」
「そういえば、彼氏とどっか遊びに行ったりするの?」
夏樹が幸に少し大きな声で話した次の瞬間、隣から良子が声をかけてくる。
テーブルを見回すと、みんなが夏樹を見ていた。その顔には、明らかに心配の色がうかがえる。
結婚式の大事な場面で、夏樹が怒りだすとでも思っているのだろうか。
結婚にそれぞれの形があるのは十分に分かっているし、幸の意見も一理ある。
だが、良子に内心感謝しながら、夏樹は答える。
「二人とも温泉が好きでさ。私の仕事が休み不定期だから、あちこちの銭湯とか巡ってるんだよね」
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