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不安にならないわけじゃない。
最後までいくところを、嬉しそうな小島の顔を見たくないといえばウソになる。
だが、これも本心だった。
「おー、大人だ」
照れ隠しなのか、小島がつぶやくように言う。
「もう、なによ。役立たず!とか、いつか言われるのかと心配になって」
自嘲気味に言う彼が、年下だということを思い出す。普段は、気遣いばかりしてくれて、わがまま一つ言わない男。
もしこれが彼の欠点だと思えば、可愛らしいではないか。
「気持ちよくしてあげるよ」
夏樹は、再び半身を起こすと、小島のものを手のひらで包んだ。数分もしないうちに次第に形を変えていくそれを、口に含む。
「ほら。慣れればすぐにできるよ。私、楽しみにしてるよ、その日を」
髪の毛を耳にかけ、小島に笑いかける。
いつのまにかテレビが音楽番組に代わっている。ジャズの音楽が流れる音を聞きながら、彼の身体にまたぎ、それを自らの身体に沈ませていく。
「でも、子どもができなかったら困るなぁ」
夢中で彼のを身体におさめていくことに集中し、すべてが入った満足で天井を見上げたとき、夏樹の耳に届いた声。
いくらなんでも、そこまで出来ないわけないでしょ。
でも、そんな先のことを考えてくれてるの。
夏樹の胸には、照れくさが充満して小島の顔を見られなかった。
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