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「もうっ、坂崎課長ホントすみません。
矢野さんいくら言ってもタイガーバーム譲らなくて。
紺野さんのだけは、なんとか違うのを買えたんですけど」
萌乃ちゃんの言葉に、ふと坂崎と目が合う。
でも、視線はすぐに外された。
「ふうん、ま、ありがとな。
あ、俺朝一で会議だから、お前らちゃんと出張の報告書出しておけよ」
それだけ言うと、坂崎は鞄をデスクに置いて、営業部から出て行った。
「あ……れ? 課長なんか元気なくないっすか?」
萌乃ちゃんも心配そうな顔をしてる。
……二人とも鋭いなあ。
「えっと……、二人がいない間に、ちょっと私ケンカしちゃって……」
「そんなのいつものことじゃないっすか」
「今回は、本気で怒らせちゃったかも」
怒らせた、より呆れさせたが正しいのかもしれない。
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