目には目を歯には歯を

11/36
前へ
/36ページ
次へ
いつも通りの業務に加えて、嶺川へのいささか範囲を越えた新入社員指導。 二週間に渡ったそれは、自分で言い出したこととはいえ、思っていた以上にキツかった。 感じている疲労は、ただ体力的なものだけじゃない。 思い当たる原因がもう一つ。 こんなことは日常茶飯事で、入社以来とっくに慣れきっていたはずの俺へと向けられる紺野の怒り。 ここ数ヵ月、見えない壁が崩れて少しずつ打ち解けて話せるようになってきていて。 そのことにこんなにも甘えていたなんて、自分では気づいていなかった。 久々に俺へと向けられた紺野の負の感情とその視線から、無意識のうちに逃げていたのは俺の方だ。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

652人が本棚に入れています
本棚に追加