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「祐、お昼これからでしょう?
仕事で近くを通ったから、一緒にどうかと思って。」
「紗耶香……」
何なんだよ、今さら。
続けたかった言葉は、口には出さずに無理矢理飲み込んだ。
だいたい数年ぶりに再会した時、紗耶香は桜屋デパートの服飾部門にいたはずた。
それが、二年半前、俺の課長昇進の決め手となった桜屋デパートとの大きな商談が無事成功を納め、次に挨拶に訪れた時には、彼女は食品事業部の部長として俺の前に現れた。
「だって、祐と仕事がしたかったんだもの」
少しも悪びれることなく、彼女が吐き出した言葉に、俺は面喰らった。
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