652人が本棚に入れています
本棚に追加
でも、今日―――
気づいたばかりの自分の気持ちに蓋をしたくなる。
イヤだ、と思ってしまった。
『坂崎が私以外の人に触れるのはイヤだ』
子どものワガママみたいなこの気持ちに、私は何て名前をつけたらいい?
浮かんだ言葉を打ち消すように、わざと大きな音を立てて社用車のドアを閉めたその時―――
「紺野」
背後から聞こえてきたこの声は、坂崎だ。
「お疲れ。坂崎も今戻ったの?」
坂崎と顔を合わせたくなくて、私の視線は車の中。
サンプルのチェックをしている振りをした。
「さっきのことなんだけど……」
最初のコメントを投稿しよう!