目には目を歯には歯を

30/36
前へ
/36ページ
次へ
「あ、さっきはごめんねー。 邪魔するつもりはなかったんだけど」 「紺野」 「でも坂崎もちょっと節操なさすぎじゃない? いくら何でも社内ではやばいって」 「あのなぁ……」 「しかも相手得意先の人でしょ? ……って私が言えることじゃないか」 「紺野っ!!」 がしっ、と肩を掴まれ、坂崎と向かい合う。 「誤解だからな。 別におまえが思ってるようなことじゃない」 「……心配しなくても、他言しないわよ。」 瞳の奥に込み上げて来たモノに気づかれたくなくて、私は坂崎を睨み付けた。 「坂崎が誰と付き合おうが、私には関係ないし」 違う、本当はこんなこと言いたいんじゃない。 そう思っているのに、言葉を止められない。 「……あんたみたいに女にだらしないやつ、大嫌い」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

652人が本棚に入れています
本棚に追加