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「だって……、紺野さんはずっとイライラしてるし、課長も萌乃ちゃんもあんまり姿見せないし。
どうなることかと思いましたよ、ホント」
「ごめんね、心配かけて。もう大丈夫だからさ」
優しい子だな、ヤノケン。
なんというか……、母のような気持ちになった私は、ヤノケンの頭をなでなでしてあげた。
「でも、ちょっと妬けちゃったなぁ、僕」
ヤノケンは椅子に座ったままで、頭を撫でる私のことを上目遣いでちらっと見上げた。
「何が?」
「だって紺野さん、萌乃ちゃんのことに一生懸命で、僕のことなんて忘れてたでしょ?」
そんな、捨てられた仔犬みたいな目で見ないでよ!!
……正直すっかり忘れてましたとは、絶対に言えない。
「そんなわけないじゃない!
ヤノケンもう二年目だし、私がいなくったって立派にやれてるよ?」
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