目には目を歯には歯を

4/36
前へ
/36ページ
次へ
「だって……、紺野さんはずっとイライラしてるし、課長も萌乃ちゃんもあんまり姿見せないし。 どうなることかと思いましたよ、ホント」 「ごめんね、心配かけて。もう大丈夫だからさ」 優しい子だな、ヤノケン。 なんというか……、母のような気持ちになった私は、ヤノケンの頭をなでなでしてあげた。 「でも、ちょっと妬けちゃったなぁ、僕」 ヤノケンは椅子に座ったままで、頭を撫でる私のことを上目遣いでちらっと見上げた。 「何が?」 「だって紺野さん、萌乃ちゃんのことに一生懸命で、僕のことなんて忘れてたでしょ?」 そんな、捨てられた仔犬みたいな目で見ないでよ!! ……正直すっかり忘れてましたとは、絶対に言えない。 「そんなわけないじゃない! ヤノケンもう二年目だし、私がいなくったって立派にやれてるよ?」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

652人が本棚に入れています
本棚に追加