目には目を、歯には歯を2

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「そ、そうですね。 新部署の立ち上げなんかもあって、まだまだ社内もバタついています」 つい向けてしまった視線の先で、坂崎の腕に甘えたように絡み付く安藤さんの姿を捉えてしまい、私は激しく動揺してしまった。 「……気になりますか? 祐のことが」 「ごめん、ふたば。光太郎がもう迎えに来てるみたいなの……。 あら、各務さん」 「安西さん、おひさしぶりです」 香が電話を終えて戻ってきた。 私の隣に各務さんの姿をみとめた途端、香の顔がパッと明るくなる。 「すみません各務さん、ふたばの相手をお願いできます? 私もう帰らなくちゃいけなくて」 「香そんな、ご迷惑よ。 各務さん、私は平気ですから。 会社の方もまだいらっしゃるでしょう?」 香の突然の提案に私は面食らった。 得意先の専務とずっと一緒なんて気が重い。
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