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「この子、ちょっと嫌なことあってむくれてるんです。
気晴らしに話し相手になってくださいません?」
「ちょっと、香!!」
「僕は構いませんよ」
「じゃ、よろしくお願いしますね」
相変わらず香には私の意志なんて関係ないようだ。
最後にウィンクの一つも投げて、彼女は颯爽と店を後にした。
「申し訳ありません、各務さん」
私は恐縮して、体を精一杯小さくした。
香のやつ、各務さんが得意先の人間だってこと覚えてないのかしら。
「安西さんってホント面白い方ですね。
次こそはご一緒してみたいな」
零れた笑顔につい目を奪われる。
わー、この人本当に綺麗な顔してるわ。
つい、まじまじと各務さんの顔を眺めてしまった。
「……紺野さん、どうかなさいましたか?」
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