目には目を、歯には歯を2

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「あっ……、すみません。 各務さんがあんまり綺麗なお顔立ちなさってるから、つい……」 ついつい本音で喋ってしまった。 「さぞ、おモテになるんでしょうね。羨ましいわ」 実際、こうして二人で話していても回りの女性からの視線が痛い。 きっと皆、各務さんと話すチャンスを窺っているはず。 「それはどうも。 まあ、モテますね、はっきり言って」 各務さんの率直な物言いに思わず笑みが零れた。 「あはは、各務さんって面白いですね。 普通は謙遜しません?」 「ちゃんと相手を見て話してますから。 紺野さんは本音で話しても大丈夫な方だ」 違いますか? と私を覗きこむ表情にドキリとする。 組んだ手に頬杖をついて、私を見つめる瞳からは色気がダダ漏れだ。 おそらく紅く染まってしまったであろう顔を隠すように、存在すら忘れていたグラスワインを呷った。
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