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途端にむくれた表情に変わる香に私は怯えてしまう。
私が坂崎への気持ちに気がついてからというもの、香はやけに押しが強くて私は彼女に逆らえないのだ。
「何のためにあんたにそんな格好させたと思ってるの?」
「……香とパーッと楽しむため?」
「あんたバカ? 坂崎に見せつけるためでしょ!!」
「……そうでしたか。
でも、坂崎の側には安藤さんがいるし、私なんかに目もくれるわけないじゃん」
「あんたってばどうしてそんなに自己評価が低いの?
さっきだってあんなに名刺責めだったくせに」
「みんな仕事関係じゃない。
そんなんじゃないわよ……」
なんだか自分がどんどん惨めになっていく。
「せめて、今日は坂崎とちゃんと仲直りなさい!
いいこと? これは命令よっ!!」
「う……、はい」
香に迫力のある顔で睨まれて、私は渋々了承した。
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