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夏の日差しが最高潮に達する今日此の頃。
少しでも水分補給を忘れたら倒れてしまいそうな位の気温に、ため息を重ねる。
「ちょっとセンパーイ。ため息ばかりついていたら暑苦しいんですけどー。」
少し遠くに離れた机から、自分よりも若く、未だ幼さの残る声が響いてくる。
「そうはいってもなぁ・・・今日の気温38度だぞ?
それなのに省エネとかいってクーラーすら付けないってのは暑いっての・・・。」
団扇で仰ぎながら声の元を横目で見る。
海鹿杏子(あじかきょうこ)
丹精な顔立ちをした大学の後輩。
成績の方もそれなりに良く、飛び抜けて良い成績は無いものの、常に学科内でも上位周辺にいるらしい。
「それは大ちゃんが夏休みもサークルするって言ったのが悪い思う・・・。」
杏子とは反対側の方から大人しく、しかし冷静な声色が飛んでくる。
河村穂香(かわむらほのか)
本の虫と言われる程の読書家の先輩。
幼馴染でもあり、昔から自分の事を大ちゃんと呼んでいる。
「・・・穂香の方が言い出しっぺだろうが。」
「学校では先輩を付けなきゃ聞きません。」
・・・
穂香のこの面倒臭さは小さい頃から変わっていない。
事ある毎に年上アピールをするものの、中身は歳相応どころか小学生に近い幼さだったりする。
「はいはい・・・。
河村穂香先輩が、自分にサークルをしようと呼びかけたのがきっかけですから自分のせいではないですよー。」
少し意地を張った言い方で返す。
その瞬間頬を膨らませた彼女が本の角で叩いてきた。
「ってぇ・・・!」
「北川大樹君には罰として新しいトリックを考えてもらうから。」
感情の篭ってない笑顔でこちらを凝視し、拒否権は無いと無言の威圧を受ける。
俺はため息をまた一つ付き、従うしかない事を悟った。
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