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少年の名前はアラン。
年齢は八歳。
小さな町、マリサナに住んでいるとある一家の一人息子だ。
少年は、この町の中心にある噴水広場に向かって走っていた。
そして、その場所に近づくと、見覚えのある顔が見えてくる。
「おーい、おーい!」
声をかけ、こちらの存在を向こうに気づかせる。
「おー、アラン。ギリギリだな」
「ごめん、ねちゃってて」
「全く、ねぼすけだな~」
少年の前には、少年を除いて四人の子供達がいた。
全員、少年の同い年の友達であり、男の子が二人、女の子が二人だ。
先ほどの声はその一人、タミルという名の少年だった。
続けて言う。
「ちゃんと持ってきたか?」
「うん。持ってきたよ」
そう答え、鞄の中を探る。
そして、鞄から出てきたのは、綺麗な光を放つ宝石のような小石だった。
これは、この五人がこの前偶然見つけたものであり、もともと大きかったのを割って、五等分したものを一人ずつ持っていた。
それを今日、持ってくる約束だったのだ。
「これ、どうするの?」
「となり町の兄ちゃんにたのんで、ペンダントにしてもらうんだ」
「へぇ~、そんなことできるの?」
「あぁ!兄ちゃん、そういうのする”こものや”なんだってさ!」
「かっこいいね!」
この子達は、小物屋の意味をよく分かってないだろう。
ただ、すごい、や、かっこいい、などの感想が出てくるだけだ。
「それで、ペンダントはおれたちのゆうじょうのあかしにずっと付けとくんだ!」
「それ、いいね!」
そうして五人は、タミルの兄がいるという隣町、ナルカに向かうため、馬車乗り場に行くことに。
「みんなとだけで乗るの初めてだね!」
少年が言うと、その友達の一人、マナという名の少女が答える。
「そうだね、すっごい楽しみ!」
そう言うと、その隣にいるユミという名の少女が言う。
「いつもはこの町の中だけで遊んでたもんね……」
そう言うとタミルが、
「おれは何回か行ったことあるぞ、ナキもあるよな?」
そう聞くと、ナキという名の少年が「うん」と答えた。
「ナキ君、行ったことあるの?」
「うん、お父さんに会いに……」
「へぇー!」
この子たちの説明を入れさせていただくと、ユミとナキは控えめな少年少女であり、タミルの兄は、ナキの父親の元で働いている。
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