第1章 出会い

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「なんだったんだろ、さっきの……」 ユミはマナにくっつきながら聞く。 「さぁ、モンスターかもな」 しかし、タミルは恐がる様子もなく、どんどん先へと進んでいった。 実際、この世界にはモンスターが存在する。 しかし、人や家畜を襲うことはなく、洞窟や深い森などで穏やかに生活しているらしい。 「それにしても真っ暗だねぇ」 少年は、鞄にはずっと入っていた懐中電灯を点ける。 「なんだ、持って来てたんだ」 「昔から入ってるんだ」 「へぇ~。あ、そういえば聞くのわすれてた!」 「え?なんのこと?」 「ほら、分かんなかったものを聞くの」 「あ、ほんとうだ!それじゃ、出てから聞きに行こう」 「そうだな!」 その後も、五人はどんどん進んでいく。 途中、ユミやナキが、戻った方がいい、と言ったが、タミルは大丈夫と言って先に進んだ。 といっても、ここまで幾つかの分かれ道があり、更に下り坂になっていたため、五人はどんどん奥に進んでいくことになっていた。 そして、ある時。 「ねぇ、かえり道は分かるの?」 と、マナが聞いたのが、始まりだった。 その時、タミルは自信満々に、 「だいじょうぶだって!分かれ道とかあったけど、上がって行けばすぐもどれるって!」 しかし、現実は甘くなかった。 なぜこの洞窟の前に、”危険”と書かれた看板があったか。 この洞窟は一度入って進んでしまうと、戻れないといわれているからだ。 タミルが言ったように、上がって行けばいいというが、実際、五人が試してみると、 「ねぇ、こんなに長かったっけ?」 「あれ?おかしいな、もう着いてもいいはずなのに」 そう、まるで魔法でもかかったかのように、上がっても上がっても出れないのだ。 そしてついに、ユミが泣き出す。 「うわぁぁぁぁん、かえれなくなっちゃったぁ。かえりたいよぉ、お母さぁぁん」 涙は我慢していたかのように、一気に溢れ出て、ユミの服を濡らしていった。 ナキも、もうすぐ泣きそうであり、だんだんと空気が重くなっていった。 「ねぇ、どうしよう……」 少年が、タミルに聞く。 「うーん、上がるしかない!」 「でも…………」 そう、今まで結構上がって来たはずなのだ。 それなのにたどり着けない。 しかし、動かないというのはタミルが一番嫌だった。 「とりあえず、動こうぜ!」 やめとこう、と少年が言おうとした時、少年の耳に声が聞こえた。
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