第1章 出会い

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「え……?」 「どうかしたのか?」 「いや、こえがしたような……」 「こえ?そんなの聞こえなかったぞ」 少年は気のせいかと思った時、またしても耳に声が聞こえた。 それはさっきよりもはっきりと。 「ねぇ、みんな何か言った?」 「いや、何も言ってないぜ」 他の三人も首を振る。 少年はさらに耳を澄ます。 「あ……」 そして少年は、声を聞き取った。 『こっちよ……』 「やっぱり……だれ?」 『それは後。今はここから出なくちゃ』 「うん……」 すると少年は、姿が見えないが、声が聞こえる方に歩いていった。 「お、おい!アラン!」 他の四人は驚いて、少年の後を追う。 「どうしたんだよ?」 「しっ!静かにしてて……」 そう言われ、四人は黙って少年についていくことに。 しかし、少年は上がったり下がったりするので、四人は心配になってきた。 「おい、アラン……」 「大丈夫だから……」 そう言われ、四人は信じることにした。 なぜなら少年の目がしっかり前を向いていたからだ。 『次はこっち。これで最後よ』 「うん……」 その声のする方へ行くと、前には光が見えた。 それは懐中電灯のそれとは違い、温もりのある、日の光だった。 五人は急いでそこに向かう。 そして、ついに洞窟から出ることが出来た。 「やっと出れた~」 「うぅ、怖かったぁ」 「アラン、すごかったね。どうやって分かったの?」 「こえがしたんだ」 「こえ?」 その時、少年の目の前に、白い蝶々が一匹飛んでいた。 まさにそれは夢の中、そして馬車の外で見たものだった。 「もしかして、君が……?」 その白い蝶々は、少年の前で返事をするかのように何回か飛んだあと、何処かへ飛んでいってしまった。 「…………ありがとう」 少年は飛んでいった白い蝶々にお礼を言うと、四人に戻ろうと言った。 小物屋に戻ると、少年はさっきのことを話した。 もちろん怒られたが、意味が分からなかったこともあり、何より無事だったことに二人はホッとした。 二人に声のこと、白い蝶々のことを話すと、笑いながら、しかしその笑いは馬鹿にしているものではなく、楽しそうに「それはきっと神様だな」と言って、神様に感謝の言葉を贈った。 マリサナに帰って、みんなと別れた後、家に戻っても、少年は今日あったことを母親に話し、また会いたいと言ったのだった。
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