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9山間部の空き地。
空き地の真ん中に自走砲が鎮座している。
部隊長「くそっ! せっかく出番だと思ったら、敵は飛びあがるし、通信機は壊れるし。俺達は世界から嫌われてるのか」
隊員Aがコードを持って走って戻ってくる。コードの先はどこかの民家に繋がっている(住民は避難したのか、人気はなく明かりもない)。それを受け取った隊員B、何かに接続して調整している。
隊員B「やった。機巧研に繋がりましたよ!」
部隊長「でかした!」
部隊長、受話器を取る。話す相手は大佐
大佐『現場はどうなっている? これは電波妨害か?』
部隊長「無線機は全部ダメ。レーダーもダメ。ちなみに、決着はまだついてません。お姫さまは飛んでますよ」
大佐『そうか……』
部隊長「見てるだけでいいですか? 負けるとは思ってませんが」
大佐『いや。あまり長引かせたくない。なんとか地上から支援できないか?』
部隊長「考えてはいますが、ミサイルじゃ無理かもしれませんね。こっちは自走砲ですが、撃ちましょうか? 当たるかは知りませんが……」
大佐『解った。発砲は許可しておく。現場の判断でやれ』
部隊長「自分が勝手に撃っちゃっていいんですかね? 外したり、最悪味方に当たった時は?」
大佐『確実にいけると思った時だけだ。無理に撃つ必要はない』
部隊長「了解しました。……あの、廃棄前の多目的榴弾、持ってきてるんですけど、使ってもいいですかね?」
大佐『許可する』
部隊長、受話器を置く。
隊員A「いいんですか。あれ確か条約で……」
部隊長「お姫様が撃墜されるのと、金属探知機持って遠足するの、どっちがいい?」
隊員A「遠足で済めばいいですけどねぇ」
隊員C、地図を広げてみせる。
隊員C「あの、隊長。この位置から最大俯角で北西に向かって撃つと、この辺りに着弾すると思うんですよ」
部隊長「山の中だな……」
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