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「俺、海老フライが食べたい」
「勝手に食えば?」
「美味しい所じゃないと嫌だ」
お前は小学生か!
と突っ込みを入れた所で、何で、と返ってくるのが分かっているから、あえてスルーする。
すると、前方を歩いていたソイツが、突然立ち止まった。
そして、上空を指差す。
僕も無意識に示された方を見上げる。
「さっきの標識、だな」
と僕が呟く。
「・・・・あれ、そうでしょ?」
「へっ?」
真剣な表情でソイツが、真っ直ぐ前を見つめた。
小学生位の女の子とお父さんがお互い自転車に乗って、笑いながら近付いて来た。
「イヤイヤ、あれは違うだろ!」
嫌な予感がして、ソイツに対し命一杯手を振ることで否定する。
「確かめてみないと、わかんないじゃん」
「あの雰囲気だったら、明らかに親子だろ」
と言ってソイツをみるが、居ない。
怪しく思い、冷や汗が流れるのを感じながら、前方を見る。
あっ、居た。
って、何してんだ?
あら、お父さん、凄く怒ってますけど?
何回かソイツが話を交わした後、平謝りを何回かして、こちらに向かって走ってきた。
「はははぁ、親子だって、俺の負けだ~」
だから、僕は違うと言っただろう!
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